《委員会レポート&今月のイベント》「 第16回ジュニアロースクールのご報告」

法教育委員会
委員 野田 俊之

 今年も8月20日に法教育委員会による「ジュニアロースクール」を開催しました。
 ジュニアロースクールとは、中学生及び高校生を対象に1日ないし数日かけて法教育(法的思考)を学んでもらうイベントです。各地の単位会でも盛んに実施されており、京都弁護士会では今回で16回目のイベントとなりました。今年も、昨年に引き続き、京都地方裁判所、京都家庭裁判所及び検察庁にご協力いただき、各機関と当会の共催という形で無事開催することができました。
 当会のジュニアロースクールは、ここ数年、大変人気のイベントとなっており、今回も募集開始直後に60人を超える方からの応募をいただきキャンセル待ちが出るほどの盛況ぶりで、当日は48人の中学生及び高校生に参加いただきました。
 今年の実施内容は、午前中に、架空の事案を題材に、参加者の皆さんに当事者になりきってもらい、みんなが納得できるルールを作り上げてもらうという法律家体験のワークショップを行いました。昼食時には、当会にて、当会の弁護士に加えて京都地方裁判所及び京都家庭裁判所の裁判官と京都地方検察庁の検察官を交えた座談会を行い、午後には、京都地方裁判所にて裁判傍聴と法廷見学を行いました。
 以下、当日の様子を簡単にご報告いたします。

1 法律家体験「みんなが納得するルール作り」
 当会地階大ホールにてジュニアロースクールの開校宣言を行った後、メインイベントである法律家体験を行いました。
 今年は、架空の商店街で起こっているアーケード内での路上ライブを巡るトラブルについて、参加者の皆さんに、路上ライブを盛り上げたいミュージシャンやファンクラブ、路上ライブに対してそれぞれの思いを抱える商店街の各店の店主のいずれかの役になりきってもらい、当事者全員が納得できるルールを作成するというワークショップを行いました。
 このワークショップでは、参加者に10班に分かれてもらい、各班担当のチューター役の弁護士のサポートの下、まずは、自らの立場の言い分を整理してもらった後、当事者それぞれの言い分や意向を聴き取ってもらいました。そして、各当事者の意向を踏まえて争点を整理し、再び各当事者の意向を確かめて……ということを繰り返し、どうすればみんなが納得できるかを考えてもらいました。最後には、全ての班で当事者全員が納得いくルールを導き出すことができ、参加者の皆さんには達成感を味わってもらえたのではないかと思います。
 ワークショップの最後には、各班から、当事者全員で合意したルールの内容とその理由を発表いただきました。同じ題材を基に話し合ってもらったにもかかわらず、合意に至るまでの過程や内容は班ごとに様々で、運営サイドとしては非常に興味深いです。特に、私たちが事前に想定していなかったような内容のルールを盛り込んである班もあったりと、参加者の皆さんの豊かな思考力や想像力には毎回驚かされます。

2 座談会
 昼食時には、まず、京都地方裁判所の栗田陽介裁判官、京都家庭裁判所の村井桃子裁判官、京都地方検察庁の平田航涼検事、当会の猪飼真未弁護士をパネリストに迎え、座談会を実施しました。
 座談会では、裁判官、検察官、弁護士の自己紹介とともにそれぞれの仕事内容を簡単に説明していただき、その後、参加者から事前にもらっていた質問をパネリストに伺いました。時間の都合上、全ての質問を取り上げることはできませんでしたが、「法律家になった理由」「仕事のやりがい」などの質問に答えていただき、中高生の皆さんが今後の進路を考える上での一助になったものと思います。
 その後、パネリストの方々には参加者のテーブルに分かれて着席いただき、参加者の皆さんと各テーブルのチューター役の弁護士と一緒に昼食を取りながら、ざっくばらんに法律家の仕事に関するお話をしてもらいました。どのテーブルでも、パネリストやチューター役の弁護士とのやり取りが積極的になされ、皆さん笑顔でお話しされていたのが印象的でした。和気あいあいとした雰囲気の中、法律家のリアルを知ってもらう時間になったのではないかと思います。

3 法廷傍聴及び大法廷見学
 座談会及び昼食の後は、京都地方裁判所に移動し、参加者には2班に分かれて、実際の刑事事件の公判を傍聴してもらいました。今回傍聴したのは、詐欺事件と窃盗・横領事件の2件。特に前者は闇バイトに関する案件で、参加者とその保護者の方にも関心のある分野でもあり、裁判の雰囲気や流れを肌で感じてもらうだけでなく、ニュースで耳にするような出来事が決して他人事ではないと感じてもらうきっかけになったものと思います。
 また、地方裁判所のご協力で、101号法廷を見学させていただくとともに、裁判官の法服を着る機会も準備いただきました。引率の弁護士からの解説を聞きながら、普段なかなか見る機会のない大法廷や法服に触れていただいたことで、裁判や裁判所を身近に感じてもらうことができたのではないかと思います。

4 修了式
 法廷傍聴・見学の後は当会に戻り、法教育委員会の竹波委員長からの講評をいただいた後、山下翔副会長及び竹波委員長から参加者全員に修了証書を授与し、山下副会長からの閉会の挨拶をもって、本年のジュニアロースクールは閉会となりました。

5 最後に
 以上の通り、今年度も、地方裁判所、家庭裁判所及び検察庁のご協力もあり、盛況のうちにイベントを終えることができました。
 イベント後に参加者の皆さんからいただいたアンケートは、まだ集計中ではありますが、全体を通して参加者の皆さんが楽しそうに参加されている様子を拝見していると、今年も皆さんに満足をいただけたのではないかと思います。
 法教育は、生徒の皆さんが将来法律家になるか否かにかかわらず、法的思考力を身につけることを目的としたものであり、様々な立場から物事を考える力を養うことがその目的の一つと理解しています。今回の参加者の皆さんには、それぞれの当事者の立場から今回のトラブルがどう見えるのか、立場の異なる者の意向を調整するためにはどうすればよいのかを考える良い機会になったのではないかと思います。また、普段なかなか接することのない法律家と直接話す中で、法律や法律家を身近に感じ、困ったときには頼っていい存在なのだと知ってもらう機会にもなればと願っています。
 最後になりますが、事前の準備、当日の進行にご尽力いただいた先生方、当会職員及び共催機関の皆様におかれましては、ジュニアロースクールの準備・運営に多大なるご協力をいただき、本当にありがとうございました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。

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