会務NEWS Vol.657
紛争解決センター運営委員会
委員長 豊田 宏嗣
2026年7月27日に、ADR研修を実施いたしました。
研修の前半では、当センターが運用している和解あっせん手続きの基礎について解説が行われました。具体的には、当センターが設立された沿革やこれまでの運用実績、現在の制度概要に加え、裁判外紛争解決手続きの利用促進に関する法律に基づく「法務省の認定」を受けていることによるメリットについて説明がありました。また、近時の法改正にともない、当センターの和解あっせん手続きで成立した和解に執行力を付与できる場合があることや、当センターの手続規則では、災害時に当事者の状況に配慮してより迅速に紛争解決手続きがとれるよう特則が設けられていること、さらに当センターが家族法改正を踏まえた日弁連家事ADR事業に参加していることなど、最新の法改正の動向や当センターの取り組みについてもあわせて報告がなされました。
続く後半のプログラムでは、近年当センターの和解あっせん手続きにおいて実際に取り扱われた3つの事例を題材に、実践的な報告が行われました。対象となったのは、和解が成立した請負契約の終了に関する事例、和解不成立となった飲食店での従業員と来店者間の事故事例、そして和解が成立した医療事故事例の3例です。報告に際しては、それぞれの事例を実際に担当したあっせん人や補助者、代理人が登壇し、事案の具体的な進行や当時の対応について詳細な説明がありました。特に医療事故事例の報告においては、あっせん人を担当した会員と医療機関側の代理人を担当した会員の双方が登壇し、より多角的な視点から実務的な状況が共有されました。
その後に設けられた質疑応答の時間では、実務に直結する活発な議論が展開されました。和解成立に至るまでにあっせん人が凝らした具体的な工夫や、あっせん人の立場から見てどのような代理人の対応が好ましいかといった点についても踏み込んだ意見交換が行われました。これらの内容は、参加者が将来あっせん人として活動する際だけでなく、和解あっせん手続きの代理人を担当する場合や、日常の法律相談において相談者に本手続きを紹介する際にも参考になる非常に示唆に富むものでした。
当センターでは、和解あっせん手続きに関する理解を深め、実務能力を向上させるための研修を、今後も継続的に実施していく予定です。次回の研修におきましても、ぜひ多くの会員の皆様にご参加いただけますようお願いします。