《委員会レポート&今月のイベント》「湯川二朗会委員講演会~各種委員活動の総括~」のご報告

公害対策・環境保全委員会
委員 野村 龍志

1.はじめに
 去る4月7日(火)、当会の湯川二朗先生を講師にお招きし、講演会を開催しました。
 湯川先生に作成いただいたレジュメの題名は、「審査会委員の経験をつなぐ~審査会委員としてやったこと・やろうとしたこと~」でした。そして、当日は、湯川先生が京都府・京都市建築審査会委員、京都市第一行政不服審査会委員、京都府公害審査会委員、その他、民事調停官、京都市建築紛争調停委員会委員を経験したことで得られた知見や挑戦されたことについて講演をいただきました。

2.京都府・京都市建築審査会委員としての活動
 京都市建築審査会委員としての活動は、原則として月に1回は審査会が開かれている(京都府は年3回程度)ところ、対象となる事件の件数の多寡にかかわらず、1回の審査会で対応しているとのことでした。主な活動内容は、接道要件を欠くことから原則として建物を建築できない事案において、例外的に適法に建築を可能とする際に必要となる接道許可同意、ホテル建築事案で問題となった用途特例許可同意、歴史的建造物の修繕の際に問題となる適用除外同意、その他審査請求事案について述べていただきました。

3.京都市第一行政不服審査会委員としての活動
 京都市第一行政不服審査会(市税に関する審査請求以外の審査請求に係る事件の審議を行うことを担当している。)においても、京都府・京都市建築審査会に審査請求が行われたときと同様に、審査請求においては職権探知主義が採用されていることから、審査請求人の主張に対して、単に「認められない」という判断をするだけでは足りず、審査対象である処分は違法でもなく、不当でもないという判断をしなければならない。それゆえ、例えば、建築審査として適法であるという判断に至ったとしても、景観条例との関係で不当と判断する余地があるのではないかということも検討対象となり得るとの説明がありました。また、審査請求においては、職権証拠調べが採用されていることから、開発行為において問題となる、開発許可権者の行った開発行為非該当性判断(開発許可が不要であるとの判断)の適法性・妥当性を検討するにあたり、許可権者がそのような判断に至った理由・根拠を裏付けとなる記録、会議録、資料等を提出させ、検討することとなっているとのことでした。また、審査会において、処分が適法かつ妥当との判断に至ったとしても、審査会委員として個別意見を付け加えることができないかなどの試みをされたことがあるとのことでした。

4.京都府公害審査会委員としての活動
 各都道府県に設置されている公害審査会には、文書提出命令や立入検査といった権限が認められているところ、京都府公害審査会委員として、騒音・振動測定に携われたとのことでした。なお、土壌汚染調査には、少なくない費用を要するが、公害審査会が実施することにより、当事者は費用を負担せずともよくなるというメリットについてもご報告がありました。また、公害審査会は、調停受託勧告を行うことができるところ、バイオマス発電所事件において、当該勧告により紛争の解決が図られたというケース紹介がありました。

5.民事調停官、京都市建築紛争調停委員会委員としての活動
 民事調停官、京都市建築紛争調停委員会委員の活動から得られた経験として、30分程、当事者双方から事情を傾聴し、現地見分などを行うことにより、事案の全体像、調停の落ち着きどころが見えてくる。その上で、訴訟になった場合の当事者の負担や、審理・判決の見通し、専門家の意見を伝えることなどにより、当事者に対して紛争を早期に解決することのメリットを理解してもらうことで、3回程度の期日で解決することもあることなどを紹介いただいた。
 今後も、湯川先生が各審査会委員を通じて獲得された見識を後任者や各委員に伝授いただける機会を賜れば幸いです。

会務NEWS Vol.654TOP