《委員会レポート&今月のイベント》全国ADRセンター連絡協議会報告

紛争解決センター運営委員会
委員長 豊田 宏嗣

 2026年5月29日、仙台において開催された全国ADRセンター連絡協議会に出席いたしました。本協議会は毎年、日弁連ADRセンターの主催のもと、各単位会が持ち回りで開催しているもので、前年度は当会が担当いたしました。今回のホストである仙台会は、全国的に見ても活動が活発で、先進的な取り組みを行っている単位会として知られています。本年の協議会は同会の設立20周年記念事業も兼ねており、非常に力の入った企画となっていました。
 第1部の基調講演では、「仙台弁護士会ADRの20年と、実践から得られた知見」というテーマのもと、同会のこれまでの歩みと活動実績が紹介されました。同会は設立以来、常に毎年100件を超える事案を取り扱っており、その安定した実績の背景には、「読書会」と称する定期的な勉強会の存在があります。そこでは文献研究や事例研究が重ねられ、先輩から後輩へと確実に知見が承継される仕組みが構築されています。さらに、東日本大震災における災害ADRの実践や、近時では民事訴訟のIT化に先駆けて、Web手続きに対応する仙台オリジナルのシステムを独自に設計・導入するなど、時代に先駆けた先進的な取り組みが強く印象に残りました。
 第2部のパネルディスカッションは、「弁護士とADR」をテーマに、仙台会が実際に取り扱った3つの事例を軸に進行されました。まず、事件に携わった当事者代理人やあっせん人へのインタビュー形式で事案が紹介され、それを受けてパネリストである仙台会の弁護士と、学識者として登壇された京都大学大学院法学研究科の教授がコメントを述べるという形式で議論が深められました。
 具体的な事例としては、病院と医師の退職をめぐる紛争、親子間の住居をめぐる紛争、そして第三者に対する不貞慰謝料を3面解決した事例の3件が報告されました。いずれも法的手続きに委ねればゼロサム的な解決になりかねない事案でしたが、話し合いによる解決を選択したことで、当事者それぞれが納得感を持てる結果に至ったとのことです。パネリストからは、詳細な事実認定や法的主張の当否のみに囚われることなく、当事者の本質的な「関心事」に目を配ることこそが、納得のいく解決を導く鍵であるとの示唆に富むコメントがなされました。
 協議会後に開催された懇親会では、各単位会からの現状報告が行われました。年間100件を超える多数の事件を安定して取り扱う単位会の報告をうらやましく思いながら、当会での運用の参考とすべき点を探りながら報告を聴いていました。一方で、当会が継続的に取り組んでいるあっせん人のスキルアップ研修(4月号の会務ニュースで報告)については、他会の弁護士からも高い関心が寄せられ、有意義な情報交換の場となりました。
 今回の協議会で得られた全国の先進的な知見は、当会における和解あっせん事案の取り扱いに大いに資するものです。今後はこれらの知見を実務に反映させるとともに、研修等の機会を通じて会員の皆様へ還元できるよう努めてまいりたいと存じます。

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