日弁連理事会報告

2025年度第10回理事会

会長 池上 哲朗

【開催日】 2026年1月15日(木)、16日(金)
【場 所】 弁護士会館1701会議室

 詳細な議事録は日弁連の会員専用サイトの「日弁連情報」→「理事会報告」コーナーに掲載されます。

冒頭
☆渕上会長挨拶

  •  米国によるベネズエラ侵攻は他国に対する武力攻撃であり許されない。昨年の人権大会で長崎宣言を出したことには意義があると考える。我が国は恒久平和を維持しなければならない。
  •  再審法改正については、衆議院解散により議連提出法案は廃案となり、法制審の閣法のみが提出される見通しとなったため、閣法の内容を適正なものにする取組を行いたい。

【1日目】

  • 審議事項3 地方公共団体の包括外部監査に関するガイドライン案の件
     地方公共団体における包括外部監査人に弁護士が就任する場合のガイドラインを定め、より一層弁護士の選任を進めていこうとするもの。
     提案の内容をガイドラインとして策定することが可決・承認された。
  • 要請事項2 包括外部監査制度に関する件
     包括外部監査制度の対象団体(都道府県・政令指定都市及び中核市)に対して、弁護士を包括監査人又はその補助者として選任するよう働きかけを行って欲しいとの要請。
     対象団体において弁護士が包括監査人等に選任されている割合は設立当初8%程度で、現状15%程度になっているが、まだまだ低いといわざるを得ないとの説明がなされた(京都府、京都市も対象団体ではあるが、選任されていない。)。
  • 再審法改正実現本部全体会議
     担当副会長から衆議院解散を踏まえた現在の状況が報告された。本部としては法制審の学者以外の有識者委員に日弁連の立場や考え方を理解してもらい、賛同者を増やす取組を行っている。
     次いで鴨志田推進室長から、法制審の議論状況が報告された。今後4巡目の議論が始まる。法務省からは試案が示されているが、先行の叩き台案を踏襲した内容となっている。証拠開示に関しては関連性の縛りがあり裁判所の裁量は認めないという内容となっているため、裁判官からも異議が述べられている。また検察官の不服申立については項目自体存在せず現状通りとする内容となっている。再審開始決定に関与した裁判官はその後の再審公判には関われないという案が新たに提案された。再審請求についての調査手続なる関所を設けていることも極めて問題。
     試案に対しては日弁連の対案を提出する予定。双方を並べて検討する予定であるが、2月下旬に開催される見込みの国会において閣法で提出するために2月2日には取りまとめをするという拙速な進行となっている。
     本部は総選挙後に議連から再度国会に法案を提出してもらうことが重要であると認識しており、そのための働きかけをする予定。選挙後に新しく当選した議員に対して議連への入会を働きかけてほしいとの要請がなされた。
     閣法で提出するためには自民党内の司法制度調査会等で審査を受ける必要があり、2月下旬か3月上旬が見込まれるため、その段階で修正を働きかける。
     単位会の会長声明の発出については状況を確認してタイミングを見ながらお願いしたいとの要請がなされた。
  • 報告事項2 会務報告の件【武本副会長(兵庫県弁護士会)】
     阪神淡路大震災の自身の経験に基づき会務報告が行われた。
  • 審議事項4 銀行口座開設における在留カード等の提示に関する人権救済申立事件に関する要望書案の件
     前回の理事会から継続審議の案件。担当副会長からは更にバージョンアップすることを予定しており、次の2月理事会で成案として審議をお願いしたいとの説明があり、2月理事会への継続案件となった。
  • 死刑廃止及び関連する刑罰制度改革実現本部全体会議
     中本顧問より日本の死刑制度について考える懇話会での議論状況や報告書、本部としての今後の取組みや方針についての説明がなされた。
     静岡県弁護士会と長野県弁護士会では死刑廃止の総会決議がなされる予定。
     死刑が既に廃止された諸外国でも民意で死刑廃止派が多数となったから死刑が廃止されたという国はなく、法律家が主導して廃止された。本部としてはまずは死刑の執行停止を取り掛かりとして廃止に向けた議論を行いたいと考えているとの説明があった。
  • 公益財団法人日弁連法務研究財団推進委員会全体会議
     財団の事業計画について可決・承認された。2025年度の実施事業についても説明がなされ、より多くの会員に加入して欲しいとの要請がなされた。
  • 報告事項6 弁護士業務におけるマネー・ローンダリング対策の件
     担当副会長からフォローアップへの取組結果に関する報告の集計結果が報告された。
  • 審議事項5 「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会 報告書」を踏まえ、消費者法制度を抜本的に整備・拡充するための具体的な検討を行うことを求める意見書案の件
     消費者問題については、消費者と事業者との間の情報・交渉力の格差を是正するというのが従来の考え方であったが、それに加えて消費者であれば誰しもが多様な脆弱性を有するという認識を制度の基礎において、その基本理念(パラダイムシフト)を刷新し、既存の枠組みにとらわれることなく抜本的かつ網羅的に消費者法制度を再編・拡充するという観点から、日弁連として意見を述べるもの。当会の二之宮会員が説明員として参加され、詳細な説明をされた。
     提案内容通り可決・承認された。
  • 審議事項9 司法シンポジウム規則中一部開催の件
     同9-2 第31回司法シンポジウムの主題及び開催地の件
     司法シンポは3年毎に開催されているが、国選弁護シンポも3年毎に同じ年に開催されており、2024年度は11月1日に金沢で国選弁護シンポ、翌日2日に日弁連会館クレオで司法シンポというスケジュールとなり、準備及び参加にも相当な負担となっているため、次回の司法シンポを1年先にずらし、両シンポの開催年をずらすための規則改正。
     次回の司法シンポは「司法のデジタル化の現状と課題(仮)」のテーマで2028年秋にクレオで開催する予定。
     いずれも提案通り可決・承認された。
  • 報告事項14 JFBA申請システムの稼働状況の件
     申請システムの稼働実績と今後の課題について担当副会長から報告がなされた。
  • 報告事項13 日本司法支援センターの本年度予算執行状況に関する件
     前回の理事会で、年度初めから全国で執行抑制がなされているのではないかとの指摘があったことを踏まえ、法務省に問い合わせた結果が報告された。法務省としては、予定数はあるが、あくまでも目安であり執行抑制は行っていないとの回答であったとの報告がなされた。

【2日目】

  • 理事特別発言 四国弁護士連合会 金子理事(高知)
     小規模単位会である高知弁護士会の苦労と若手会員の会務への勧誘活動についてエピソードを交えながら紹介。
  • 報告事項7 日本司法支援センタースタッフ弁護士の令和8年度配置に関する件
     令和8年度のスタッフ弁護士配置スケジュールが説明された。各単位会に照会した結果を踏まえて協議し、10月には確定した配置人数案を報告することになる見込み。
  • 審議事項7 性別による差別的取扱い等の防止に関する規則全部改正の件
     LGBT理解増進法の制定を受けて、会員に対し、SOGIに関するハラスメント等に関する基本的な心構えと具体的な言動例を明記するため改正するもの。日弁連に対する相談件数は年間数件程度、うち調査に移行するものもあるのが実情。改正案では申出の手段はまずはウェブサイト上のフォームに入力することにした。申出人と連絡が取りにくくなるという事例も一定数あることを踏まえ休止という制度も新たに設けたとの説明があった。
     誤記を修正の上可決・承認された。
  • 報告事項8 2026年度「地方弁護士会での短期就業体験(エクスターンシップ)の試行」の件
     大都市圏の法科大学院生を対象に、地方弁護士会での短期就業体験(エクスターンシップ)を試行するもの。2025年度は受入事務所、法科大学院生双方からおおむね趣旨に沿った成果があったとの評価を得たため、2026年度も試行を続行する。
     2025年度は、交通費・宿泊費として400万円弱の支出があり、2026年度は若干人数を増加して40名枠で総額560万円の予算組みとなるとの説明があった。
     提案内容通り可決・承認された。
  • 報告事項11 男女共同参画の推進に関する件
     計画の概況及び本部の活動内容、委員会等の女性割合及び行動計画について、日弁連役員(クオータ制)について各報告がなされた。併せて担当副会長から日弁連側の検討状況が報告された。主な論点は、①女性理事全員への経済的支援の拡充要否、②クオータ理事の増員要否、③クオータ副会長の増員要否、の3点。日弁連執行部の間でも様々な意見があり、現時点では具体的な方針等は決定できていないとの報告があった。
  • 報告事項12 法制審議会刑事法(危険運転による死傷事犯関係)部会に関する件
     法制審部会委員である宮村会員から法制審で要綱骨子案が承認・可決された経緯及び内容について報告がなされた。今後法制審総会を経て立法される見込み。
  • 報告事項10 法制審議会民法(成年後見制度)部会に関する件
     法制審部会委員である青木会員(大阪)から民法(成年後見制度)の改正に関する要綱案の内容について説明と解説がなされた。概略としては、①申立権者が拡大された、②補助開始の要件と効果について新たな規律が設けられた、③特定補助人制度が新たに設けられた、④判断能力が回復しなくても必要がなくなれば審判を取消すことができる等が骨子の案となっている。今後令和8年には法制化され、施行のため1、2年程度の準備期間を経て新制度が開始される見込み。
     法律上、成年後見というワードがなくなるため、弁護士会の業務に与える影響も大きいと見込まれる。
  • 報告事項9 AIに関する論点整理の件
     担当副会長から、日弁連としてAIに関する現在の論点を整理した報告書を作成した旨の報告がなされた。理事からは、AIが弁護士業務に及ぼす影響や日弁連としての今後の取組方針について質問があった。
  • 審議事項10 千葉刑務所拘置区における閉居罰に関する人権救済申立事件についての勧告書案の件
  • 審議事項11 千葉刑務所拘置区における書籍の直接購入に関する人権救済申立事件についての勧告書案の件
  • 審議事項12 千葉刑務所拘置区における面会制限に関する人権救済申立事件についての要望書案の件
     いずれも同一人物からの人権救済申立事件。日弁連としては人権擁護委員会の調査報告書に基づき勧告書ないし要望書を発出しようと考えている。資料配布が前日であり、説明員も参加できないため今回は頭出しで次回理事会において審議予定。
  • 要請事項3 債務整理事件処理の規律を定める規程施行規則中一部改正案に関する件
     任意整理事件で成立した和解に基づき割賦金を債権者に支払う場合の送金代行手数料についての規制を、債権者1名当たり実費を含めて1000円から、債権者の数にかかわらず、債務者1名当たり送金手数料実費分を除いて月額1000円とする改正案を策定し、今後各単位会に照会をかけるので回答して欲しいとの要請がなされた。
     現場の実態を把握したいとの意向もあるので、回答期限を経過してもできるだけ回答して欲しいとの意向が示された。
  • 審議事項6 金融商品取引法における無登録業者に対する法執行の強化を求める意見書案の件
     投資詐欺等、近時は無登録業者による被害の拡大が深刻化しており、被害回復は極めて困難であることから、予防的な観点からも、より強力な抑止力が必要となっているとの認識の下、日弁連として意見書を発出するもの。
     修文は執行部に一任することを前提に可決・承認された。
  • 要請事項4 下級審裁判官指名諮問委員会地域委員会における情報収集方法の拡充に関する件
     情報提供の方法としては従来は持参又は郵送であったが、電磁的記録をメールに添付して提出する方法も新たに加わったことがアナウンスされ、より一層の情報提供が呼びかけられた。
  • 審議事項8 綱紀委員会委員及び同予備委員の委嘱の件
     執行部の提案通り可決・承認された。
  • 審議事項2 早期事業再生検討ワーキンググループ中間整理に対する意見書案の件
     早期事業再生検討ワーキンググループが昨年12月26日付けで取りまとめた中間整理に対する日弁連としての意見。早期事業再生法に基づき新たな私的債務整理手続を定めるものであり、対象債権にリース債権を含む点や一時停止要請が可能な点などに特色がある。
     執行部の提案通り可決・承認された。
  • 要請事項1 民事裁判手続等のデジタル化に関する件
    • 各単位会に対し、本人サポートを行う場合のチエックリスト及び契約書骨子案を策定したので、会員に周知して欲しいとの要請がなされた。
    • 最高裁から民事裁判手続の全面デジタル化に向け、弁護士を含む来庁者が法廷等から事件記録の閲覧やウェブ会議に参加するためのインターネット接続環境(courts Wi-Fi)を整備し、本年2月1日から運用を開始するとの情報提供があったことが紹介された。
  • 審議事項1 令和8年度代議員会の開催及び議案に関する件
     令和8年度の代議員会が3月13日(金)午後2時から日弁連会館2階のクレオで開催されることが可決・承認された。
  • 報告事項1 新理事会務向け会務説明会の開催に関する件
     3月19日(木)午前の理事会が現年度の最終理事会で、同日午後が新理事向けの会務説明会となることが報告された。
  • 審議事項13 事務次長退任の件
     事務次長の退任が承認された。

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