《委員会レポート&今月のイベント》ザ・弁護士会フェスタ2025開催(オン・ステージコーナー)

厚生委員会
委員 秋山 健司

 去る2月7日(土)午後、リアル開催としては実に9年ぶりに、ザ・弁護士会フェスタが、会館近くの旭堂楽器店サンホールにて開催されました。私の主観・感想中心の報告となってしまい恐縮ですが、以下、記させていただきます。
 弁護士会の文化祭というコンセプトで、かつては音楽部門(オン・ステージコーナー)に絵画・写真部門(ギャラリーコーナー)も盛り込んで、会館にて大々的に行われていました。しかし、コロナ禍その他の諸事情により長い間開催が見合されてきました。しかし「会員、事務局、その家族の音楽活動の披露の場は貴重ではないか」というお声もいただき、久々にオン・ステージコーナーから再開を試みることとなりました。会場確保の関係で会員の皆様への企画のお知らせは時機に遅れ気味となりましたが、トータル9ステージのエントリーをいただき、無事開催できました。
 会場確保にご協力をいただいた藤井副会長のご挨拶で本編スタートとなりました。
 第1ステージは、谷岡茉耶会員のマリンバと大阪高裁の中川綾子判事のピアノの協奏でした。一柳慧さん作曲の「パガニーニ・パーソナル マリンバとピアノのための」が披露されました。谷岡会員は、多数の鍵盤を、複数種類のマレットを巧みに使い分けながら中川判事のピアノの旋律と一体となって演奏され、ホールは激しい情感に包まれました。マリンバの曲は、ローリングストーンズの「アンダーマイサム」しか聴いたことのなかった私には、「マリンバとはとげのある曲を優しく和らげるように演奏されるもの」という勝手な固定観念があったのですが、谷岡会員の激しい演奏を鑑賞し、初めて本格的なマリンバ演奏を味わえたような気がしました。「次回は、アンダーマイサムで私も共演させて頂きたいな。」とおこがましいことを考えてしまいました(笑)。

 第2ステージは、尾藤廣喜会員こと尾藤憲山さんと井戸湛山さんによる尺八の二重奏でした。尺八というと、虚無僧が寒空の下、吹きながら喜捨を乞う姿を思い浮かべてしまう私ですが、明治以降創流されたという都山流は洋楽の影響を受けたものが多いとのことです。このフェスタでも、山の端にかかる月が、やがて中空に浮かぶ様を描いたという『夕月』という曲を、都山流らしさを漂わせながら演奏していただきました。音色は虚無僧のそれと通じるものを感じましたが、枯れたわびさびとは違う、しかし日本的な味わいの旋律に、ゆったりとした、心温まる思いに包まれました。尺八はもともと独奏が多いそうですが、2本の尺八が協奏するというのもモダンな都山流のスタイルなのかもしれないと思いました。珍しい形での尺八演奏を聞けるのもこの弁護士会フェスタならではのものと自負しました(笑)。

 第3ステージは、私も一員として加わらせていただいているユニット、とし&みたやんfeat. Jack Miggerが登場させて頂きました。ビートルズ好きが集まったトリオで「ヘルプ!」「オールマイラヴィング」「ノーフェアマン」の3曲と、オリジナル曲の「何かが狂った世の中で」を披露させていただきました。「ビートルズ曲は歌うものではなくて鑑賞するもの」という意識が残ったまま臨んだせいか、私のヴォーカルは音が外れてしまっていました。しかし、とし&みたやんの生ギターの音色が素晴らしく、心地よく歌わせていただきました。オリジナル曲は、米国のベネズエラの侵攻という暗い世相とタイアップしてしまいましたが、「平和あってこその音楽」と想いながら歌唱させていただきました。

 第4ステージは、岩佐英夫会員によるハーモニカ独奏と歌唱でした。演奏に入る前、「これまでのステージの演奏は皆プロ級でした。しかし、自分の演奏のようなものでもこのステージで披露させてもらっていいのだと思い、その思いが皆様に伝わってもらえたら、と思って演奏させていただきます。」とご謙遜なお言葉を前置された上、生まれ故郷の新潟でのハーモニカとの出会いの心温まるエピソードを紹介されました。この日披露されたのは「ロンドンデリーの歌」。一生懸命育てた息子が戦地に送られるという内容の曲を、哀感こもったハーモニカの音色で奏でられました。その後、同曲の歌詞を和訳で朗々と歌われました。この曲は、別名「ダニーボーイ」としても知られている曲で、ビートルズのラストアルバム「レット一トビー」(1970年発表)収録の「ワンアフター909」を歌い終えた後のジョン・レノンがその一部を歌っていたのを思い出させてくれました。弁護士会で長年、憲法と平和を訴えて活動されてきた岩佐会員らしい心温まるステージでした。

 途中、心温まる、複数の会員の方からの差し入れお菓子を楽しむブレイクタイムを挟んで、第5ステージの場面を迎えました。登場されたのは、小町崇幸会員のお嬢さんの小町彩華さん(9歳)。ピアノで「ロンドン橋」「しりとり」「森のはる」「パフ魔法の竜」を披露してくれました。「がんばって、ミスをせず、きれいに最後までひきたいです。」とおっしゃっていましたが、大人の心を和らげてくれるピアノの音色を丁寧に披露してくれました。ステージに用意されたスタンウェイのピアノに「こんなすごいピアノを弾かせてもらえるの?!」と目を輝かせて楽しんでいただけたようです。会員のご家族にもこのような機会を実現できて、企画者冥利に尽きる思いをさせていただきました。次回もまた是非ご参加いただきたいと思います。


 第6ステージは、この間、新役員披露宴等で祇園囃子を披露されてきた小町崇幸会員のご登場。いつもの囃子方構成ではなく、笛(能管、篠笛)のソロを披露されました。この日は、小町会員のお師匠様が前日にお亡くなりになり、追悼の演奏ともなりました。祇園囃子、長唄、江戸囃子、童謡などを取りそろえての、京都らしい空間が展開された時間となりました。ホテルの広間ではやや拡散気味となってしまう音が、旭堂楽器店のホールという環境の中でとてもよく、かつダイナミックに耳に届き、祇園囃子の生演奏を初めて味わえたような気がしました。小町会員の指が滑らかに、優雅に、かつ素早く動き続ける様子をかぶりつきで観ることができたのは、この企画のスタッフならではのこと、と感謝の思いが湧き起こりました。「8時だよ、全員集合!」視聴世代の私にはツボである、東村山音頭のご披露もありました(笑)。今度は小町会員が祇園祭で演奏されるのを鑑賞してみたいと思いました。

 第7ステージは、出たがりジャック・ミガーこと私秋山健司が、今度はローリングストーンズ曲を披露すべく、再度ステージに立たせていただきました。旭堂楽器店のホールでは、ドラムを擁してのバンド演奏は難しいため、アコースティックギターとヴォーカルのツインスタイルで、バラード・ブルース的な “No Expectations” “Love In Vain” “Lady Jane” “Angie” を披露させていただきました。バンド仕様の時はミック・ジャガーをマネしてアクロバティックに動きながらシャウトするのですが、今回は静かに、歌だけで表現するということで、改めてストーンズ曲を丁寧に歌うことの難しさを感じながらのプレイとなりました。しかし、ギタリストのキース並川さんの手練れなプレイとお客様の暖かい眼差しのおかげで気持ちよく歌い上げることができました。今後更に歌唱の技術を磨きたいと思わせていただきました。

 第8ステージは、京都弁護士会の名だたる名ピアニスト、深尾憲一会員のご登場。演奏されたのはラモー作曲の「ガヴォットと6つの変奏曲」でした。この曲は、ラモーが18世紀にクラブサン(チェンバロ)のために作曲した音楽を、現代のピアノで演奏されたものとのことでした。「楽器の表現力が豊かなことから、不思議な魅力が立ち上がります。この曲は、主題も6変奏曲も全てイ短調ですが、暗さや深刻さはなく、バッハとは違った楽天的な典雅さが特徴です。」(深尾会員談)。演奏が始まると、やはりクラシックならではの荘厳さと心の奥をゆすられるような、どこか哀感を呼び起こされるような音色が展開されました。すぐそばで、素晴らしい音色に包まれながら、深尾会員の指先の動きまで観ることができるのはこの弁護士会フェスタだけであると、改めて思いました。

 そして最後のステージは、深尾憲一会員、山崎悠会員、藤川幸さん(弁護士会職員)のユニットによるピアノ三重奏(ピアノ、チェロ、ヴァイオリン)でした。メンデルスゾーン作曲による「ピアノ三重奏曲第1番」の第1楽章と、ピアソラ作曲による「オブリビオン」(ピアノ三重奏曲版)を披露されました。深尾憲一会員のグレースフルなピアノの音色に、山崎会員のチェロと藤川さんのヴァイオリンの音色が溶け込むように協奏している空間は、ステレオから流れてくるクラシックレコードの鳴り響く時間そのもののようでした(映画「砂の器」に流れる「宿命」を聴いている時のような思いが湧き起こりました。)。違ったのは、その音が今すぐそこ、自分の目の前の演者が奏でる楽器からダイレクトに響いていることでした。自分にとっての弦楽協奏曲としてはビートルズの「イエスタデイ」が一番に浮かぶのですが、もの悲しい響きのそれとは違う、まさにグレースフルな弦楽音を心行くまで味合わせていただきました。

 山崎会員(厚生委員会委員長)の閉会のご挨拶をもって、無事、弁護士会フェスタ2025は幕を下ろしました。弁護士会館の地下ステージとはまた違った、音楽環境に特化したこのホールで開催できたことは、弁護士会フェスタの新たな時代の幕を開けたと思います。次回はまた、今回の出演者に加えて多くの会員、ご家族、事務局の皆様にご参加いただきたいと思います。ご準備を宜しくお願い致します!最後に、ご来場頂いた会員・ご家族の皆様、企画を支えてくださった弁護士理事者と職員の皆様にお礼を申し上げます。

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