会務NEWS Vol.653
中小企業法律支援センター運営委員会
委員 垣田 貢仁子
2026年1月31日及び2月14日、日本公認会計士協会京滋会、滋賀弁護士会、京都弁護士会の共催により、会計不正に関するリレー研修を実施いたしました。この研修は、有価証券報告書への虚偽記載の疑いで証券取引等監視委員会が上場企業へ強制調査に入ったことに端を発する報道を契機に、公認会計士・弁護士としての実務知見を深める目的で企画されたものです。
1月31日は、公認会計士佐藤陽子先生による「架空循環取引における監査会計について─最近の事例紹介─」と題する講義でした。一般的な不正手口の概要、架空循環取引のスキーム、架空循環取引がなされやすい業種、会社組織、業務遂行など具体的にご説明いただき、架空循環取引を見抜くためのチェックリスト、役員・社員への確認事項リストまで共有いただきました。実例も交えた実践的内容であり、不正の兆候を感じた際の対応の重要性が強調された素晴らしい講義でした。佐藤先生が「不正取引は無くならない」「気持ち悪く感じた場合は(不正の疑惑を抱いた場合は)、途中で身を引く(契約解除)か最後まで調査するかしかない」と締めくくられましたが、私は非常に重い言葉であると感じました。上場企業のみならず中小企業法務にもすぐに活かせる内容で、私は、破産申立てや管財人業務、財産調査などにも活かせるのではないか、と強く感じました。
2月14日は、「不正会計における刑事手続きの流れ及び民事上の責任について」と題して、刑事パートは当会会員中村葉子先生、民事パートは大阪弁護士会の上米良大輔先生にご講義いただきました。
中村葉子先生には、法的な粉飾決算の定義に始まり、粉飾決算が生じる理由、会社法・金融商品取引法上の開示規制と構成要件、刑事罰・課徴金、捜査の端緒から公判前整理手続、公判までの一連の刑事手続の流れ、証券取引等監視委員会の存在、調査手続などについてご説明をいただきました。
上米良大輔先生には、民法上の不法行為、会社法上の第三者責任及び虚偽記載の責任、金商法上の虚偽記載の責任を、表と図を駆使して視覚的にも分かりやすく説明いただきました。また、各民事責任を補償する賠償保険や補償契約の内容にもご説明いただき、実際に社外役員として活躍される弁護士、公認会計士にも非常に有用な内容でした。
各回研修には公認会計士・弁護士が約40名参加し、研修後の交流会も含め盛会となるなど、士業間の連携や相互理解の重要性を再認識する良い機会ともなりました。
余談ですが、本研修後、名だたる企業の不正会計の報道が続き、時宜を得た研修となったと思います。